虹彩、毛様体、脈絡膜を総称してぶどう膜といいます(眼球水平断面図参照)。
この部分に炎症がおきた状態をぶどう膜炎といいます。
非常に多くの原因でおこり、原因が特定できないことも多い疾患です。
全身的な疾患としてベーチェット病、原田氏病、サルコイドーシスといった特殊なタイプのぶどう膜炎があります。
また、水ぼうそうなどのウィルス、結核などの細菌、トキソプラズマなどの原虫、真菌や寄生虫といったものの感染が原因でおこったり、糖尿病、関節リウマチ、クローン病などの疾患に合併することもあります。
外傷が原因でおこることもあります。
悪性腫瘍が原因のこともあります。
眼の痛み、充血、目のかすみ、飛蚊症、視力低下など、軽いものから重症例までひとつの疾患ではないのでいろいろです。
原因や病気のタイプ、病状の程度などによって変わってきます。
ステロイド剤の点眼や散瞳剤の点眼。
ステロイド剤の全身投与、免疫抑制剤の全身投与、
手術療法など。
目の前を虫が飛んでいるように感じたり、髪の毛や糸が下がっているように感じたり、黒い点やもやもやが浮いているように見えたりする症状を飛蚊症といいます。
眼球の中の硝子体というところに濁りが生じると飛蚊症が出現します。
この濁りは出血や炎症などの病気で起きることもありますが、加齢によって硝子体の構造に変化が起きることによっても生じます。
軽い飛蚊症は10代、20代の若い人でも、特に近視の強い人には時々見られます。
しかし、中年以降の人である日突然はっきりした飛蚊症が現れることがあります。
これは後部硝子体剥離といって、硝子体が眼底からはなれて前のほうへ縮んでくるためにおこります。
いいえ、網膜剥離の心配がないか眼底検査を受けましょう!
上でお話した後部硝子体剥離という現象は加齢が原因ではありますが、 この時、一部の人に網膜に裂け目ができてしまうことがあります。
網膜裂孔といいます。そしてさらに網膜剥離へと進行します。
網膜裂孔で見つかれば、レーザーで治療できますが、 網膜剥離になると入院手術が必要になり、 治療が遅れれば、視機能が回復しない場合もあります。
眼球壁の一番内側にある網膜が眼球壁から剥がれてくる病気です。
網膜には光を感じる細胞が分布しており、それらはその後ろの眼球壁から栄養をもらっているので剥がれてしまうと正常に機能できなくなります。
網膜剥離は視野の周辺からおこってきますので、最初は視野の片隅が見にくかったり、波打って見えたりします。
中心まで進むと視力が急激に高度に落ちます。
治療は入院して手術が必要になります。
視力が落ちてから手術まで時間がたっていると、視力の回復が望めないことが多いですので、早急に手術を受けないといけません。
若い人の網膜剥離の原因は外傷が多いです。
中年以降の網膜剥離は後部硝子体剥離がきっかけで起こる事が多いです。
飛蚊症や視野の端を光が走って見えるといった症状は網膜剥離を早期に見つけるきっかけになります。
糖尿病があるといろいろな合併症が出てきます。
代表的なものに、腎症、網膜症、末梢神経障害があります。
糖尿病自体にあまり自覚症状がない場合が多く、
知らず知らずのうちにこれらの合併症が進行して苦しむことになります。
糖尿病網膜症は眼に現れる合併症の代表選手です。
眼底網膜に出血が起こったり、血管が詰まったり、血管の小さな瘤が出来たりしますが、かなり末期になるまで自覚症状は出ません。
新生血管が増殖して大きな出血がおこってはじめて視力低下をきたします。
かなり進行するまで自覚症状はありません。
網膜の中心、黄斑というところに出血や腫れが起こると視力が落ちてきます。
新生血管が出来て、大出血を起こすと、急に見えなくなります。
軽いうちは、糖尿病のコントロールをしっかり行い、網膜症が進行しないようにします。
進行してしまった場合はレーザー治療、硝子体手術などが行われますが視力の回復が望めないことも多いです。
一番大事なことは、網膜症を起こさないように糖尿病のコントロールをしっかりすることです。
糖尿病と診断されたら1年に1度眼底検査を受け
早期発見につとめましょう!
眼底網膜に分布する動脈や静脈は視神経の中を通って眼球内に入り、直後に大きく4本の枝にわかれます。
このうち静脈が詰まって、網膜に出血をおこす病気です。
動脈硬化や高血圧が主な原因でおこります。
中心で詰まると眼底全体に、分岐した枝で詰まるとその領域で広範囲に眼底出血をおこします。
閉塞程度や閉塞場所によります。
黄斑という中心部が巻き込まれれば視力低下がおきます。
閉塞が強く動脈の循環も悪くなると症状もひどくなります。
逆に中心から離れた部分の閉塞ですと気がつかない時もあります。
軽い場合は内服薬投与や経過観察のみの時もあります。
レーザー治療や硝子体手術、硝子体への薬剤注入などが病状によっておこなわれます。
網膜の中央にある視力にとって一番大事な部分を 黄斑といいます。
この部分に出血や腫れが起こる病気です。
加齢が原因のひとつですが、白内障のように誰でもなるわけではありません。
新聞やテレビで話題に上りますが、白内障や緑内障に比べれば罹る人はそんなに多くはありません。
しかし、発症すれば視力低下は大きく、最近までいい治療法がなかったせいで、失明原因のひとつになっています。
症状は視力低下、中心、または中心近くの視野の一部が暗く見えたり、ゆがんで見えたり、色がかかって見えたりなどです。
進行すると視力は0.1以下になることが多いのですが、病変は中心部に限られるので、視野の周辺は見えます。
失明といっても緑内障のように真っ暗になってしまうわけではありません。
今までいろいろな方法が試されましたが、少し前まではいい治療法がありませんでした。
しかし、近年、血管増殖を抑える薬剤を眼球内に注射することでひじょうによい治療効果が得られるようになりました。
早期に見つけて、治療を開始することで、視力低下を防ぐことができるようになっています。
ただ、繰り返し注射をする必要があり、まだ、確実に治癒できるというわけではありません。
眼底、網膜の中心部を黄斑といいますが、ここに薄膜がはって、網膜にしわをよせたり、持ち上げたりします。
加齢が原因でおこり、軽くて、自覚症状がまったくなく、治療の必要もない程度の方はかなりあります。
視力が落ちたり、物が歪んで見えたりします。
軽くて、自覚症状がなかったり、わずかな場合は何も治療せず、様子をみます。
視力低下やゆがみがひどくなったら、その膜をはがして除去する手術を行います。
しかし、ある程度のところで進行が止まることも多く、失明するような病気ではないので、患者さんの希望で手術をしないこともあります。